冷凍チャーハン。それは家庭における大いなる食の味方。
昨今の冷凍食品の技術進化は凄まじく、冷凍チャーハンに至っては「下手な中華屋で食うよりも美味い」と評されることがあるほどだ。
器に盛ってレンジで数分。たったそれだけで美味いチャーハンが食べられる。最高。
筆者の私も多分に漏れず、その偉大なる恩恵を受けているわけだが。
ここで一つの疑問が生じる。
読みづらいってハナシ
数多く出回っている冷凍チャーハンの商品ら。
今日、一番うめぇヤツを決める。ただ、たった、ただただ、それだけだ。
選定した商品は全て、最寄り2~3軒のスーパーで手に入れたものだ。
それではしばしのお付き合いを所望する。共にチャーハンの愉悦に溺れようではないか。
なお、美味い不味いの判断は全て私個人の主観による。ではいく。
冷凍チャーハン最強レビュー
ニチレイ「本格炒め炒飯」
いきなり大物の登場だ。冷凍チャーハンと言えばニチレイ、ニチレイと言えば冷凍チャーハン。
絶対王者の名を欲しいままにしているこの「本格炒め炒飯」のパッケージは、健全な日本国民で目にしたことがないという不届き者はまずいないだろう。
22年連続売上No.1、1秒に1個以上売れている。
この誉れ高き謳い文句は、王を王たらしめるその実力の奥深さを雄弁と物語っている。
王道の、間違いない美味さ。
改めて向き合ってみると、思いの外玉ねぎの食感が強い。そして、濃い味付けで大きくカットされたチャーシューの存在感に圧倒される。
その分米自体の味付けはややマイルド気味で、チャーシューの旨味を浮き彫りにしつつ、絶妙にバランスを取っている。チャーシューの足し算と米の引き算のコントラストが見事だ。
全体的にネギとたまごの風味が上品でありつつも力強く、一口、また一口と食べる手が止まらない。
今回の企画は、「冷凍チャーハン最強ランキング」ではないのかもしれない。
『他商品と比較することによるニチレイ「本格炒め炒飯」の美味さ再確認』に終始してしまう可能性がある。
それほどの実力に、脱帽の一言。
※参考データ:353円(税込)/450g
ニチレイ「具材たっぷり 五目炒飯」
「本格炒め炒飯」の陰に隠れがちだが、実はニチレイは「五目炒飯」も出している。
7種の具材が旨い!、具材たっぷり!ととにかく具材についてのアピールがすごい。
一言で言うと、楽しい。
キャッチコピーの通り、7種の具材がこれでもかと入っており、様々な食感が豊かで楽しさをもたらしてくれる。
タケノコはシャキシャキ、チャーシューは紹興酒のような滋味深い香りと旨味が特徴的。彩りも良く、目で見ても楽しめる。
全体的にXO醤のような海鮮風の香りが主張しすぎない程度にやさしく漂っており、具材の良さを全面に引き出したバランスだ。
※参考データ:353円(税込)/500g
ニチレイ「町中華 五目炒飯」
こちらは業務スーパーで購入。先般と同じく「五目炒飯」ではあるもの、こちらは『町中華をイメージさせる懐かしい味わい』が売りのよう。
一体どのような違いがあるのだろうか。
第一印象は、出汁の香り。
素朴な町中華をイメージしていたが、ムワッと香る出汁の主張と、ピリっと効いた胡椒と生姜の後引く味わいなど、意外と曲者の雰囲気。
塩味もなかなか強い。具材は極小のそぼろが申し訳程度に入っており、正直言うと五目感は全くない。
心なしかお米もベチャッとしている。“町中華”感がどこにあるのかが甚だ疑問ではある。
※参考データ:428円(税込)/800g
マルハニチロ「あおり炒めの焼豚炒飯」
マルハニチロの代表選手。ニチレイの「本格炒め炒飯」と唯一双璧を為す存在と言えるかもしれない。
発売15周年のロングセラー商品。絶対王者に、どこまで食い下がることができるのか。
飽きが来ない、チャーハン。
見て分かる通り、チャーシューの色味からしてニチレイのそれとは全く違う。噛むごとにじんわりと旨味が広がるタイプ。
ニチレイはご飯とチャーシューで味付けをしっかりと差別化してメリハリを効かせているのに対し、マルハニチロはチャーシューとご飯の渾然一体感を楽しめる。そんな印象。
香り高い卵の主張と、胡椒の風味を少し感じる。わざとらしくない味付けというか、飽きが来ない奥深さがある。
※参考データ:353円(税込)/450g
マルハニチロ「炒飯の極み えび五目XO醤」
実は、マルハニチロも「五目炒飯」を出している。ニチレイに真っ向勝負をかけるその潔さからは、絶対に負けないという企業姿勢すらも感じさせる。
こちらは五目ながらも、海老をメインに据えているようだ。
その名に恥じぬ、海老の強さ。
全体的な味わいは醤油ベースで、海鮮の風味がとても強い。2、3口と食べ進むと、徐々に海老独特の油の香りが鼻を抜け、何とも香ばしい。少しだけ胡椒感も。
具材に関しては、見ての通り海老がしっかりと入っており、タケノコは小さいながらも濃い味付けで存在感を放っている。お米も硬めで個人的には好みだ。
五目感はニチレイに比べるとやや劣るが、海老に特化した形で差別化しつつ、良い勝負を繰り広げていると言える。
※参考データ:482円(税込)/600g
味の素「焦がしにんにくのマー油と葱油が香るザ・チャーハン」
彗星の如く現れた、味の素からの刺客。小栗旬が夢中で頬張るCMに、思わず唾を飲んだ読者もいるのではなかろうか。
本気を出した味の素の冷凍チャーハンの真価とは。
もはや、ガーリックライス。
ニンニクが強いのは言わずもがなだが、同じくネギ油の風味も負けてない。
具材としてのネギもシャキシャキで食感が良く、チャーシューも多めで塩辛い味付け。お米も粒感があり、硬めの仕上がり。
とは言うものの、想像したほどのパンチはなく、パッケージのインパクトから期待するとやや物足りない感は否めない。
また、全体的に一貫しての塩味の効いた味わいに疲れてくるので、お米と具材とで味付けのテイストを変える等の緩急が欲しいところではある。
※参考データ:482円(税込)/600g
テーブルマーク「焼きめし」
こちらも冷凍食品界の大手・テーブルマークのチャーハン。
昭和を感じさせるパッケージデザインからは、素朴な味付けを連想させる。
名前の通り、家庭的で落ち着く味わい。
うっすらと卵の香りがするものの、特徴だった風味は特になし。
具材は意外と多く彩り豊かで、カマボコが入っているのは何だか嬉しくなってくる。
ご飯に対し具の味付けがちょっと濃い目になっており、醤油が効いて奥行きがあるのでちゃんと考えられた調理意図を感じる。
良く言えば落ち着く、悪く言えば特徴が薄い、そんなチャーハン。子どもより大人が好きそうなバランス。
※参考データ:407円(税込)/600g
テーブルマーク「ごっつー使える 炒飯」
テーブルマークのゴリゴリに業務用の冷凍チャーハン。
名前からしてややダルい感じはするが、コスパで考えるとごっつー良いのかもしれない。
平坦な味わい、アレンジ前提か。
風味は先般のテーブルマークより更に無臭で、チャーハンとは思えない特徴の無さ。
全体的に塩味が強めの濃い味で、起伏がなく平坦な印象。後味もずっと塩味。具の存在感はなし。
いや全然美味しいんだけど、「これが好き!」っていう人はいなさそう。言ってはアレだが、安居酒屋の〆メシって感じ。
あんかけとかにアレンジしたら意外と化けそうではある。でも塩味強いしなぁ。
※参考データ:536円(税込)/1000g
トップバリュ「本格五目炒飯」
安価と言えばコレ、トップバリュの「本格五目炒飯」だ。大丈夫?「本格」とか付けて、大丈夫?
安かろう、悪かろうのイメージは果たして拭えるのか。
不味くはないが、絶対に本格ではない。
当然のことながら香りは薄い。若干の胡椒の風味は感じる。味付けはしょっぱいの一言。
意外と具材はちゃんと入っているものの、チャーシューは存在するだけで存在感は皆無。
お米も何だかベチャッとしている。不味くはない、不味くはないんだけども。
※参考データ:277円(税込)/500g
トップバリュ「2種類のにんにく油とねぎ油 香味チャーハン」
こちらもトップバリュ発・ニンニク系のガッツリチャーハン。
味の素の商品とのバッティングが予想されるものの、その結果はもう明らかか。
楽しくない、チャーハン。
マー油感と、焦げたニンニクの香りはあるが、味の素のものよりも更に圧倒的にパンチがない。
具材のチャーシューは味が濃いけれども、旨味がない。ただ、濃いだけ。すげーしょっぱい。しょっぱいご飯に、しょっぱいチャーシュー。めちゃくちゃ喉が乾く。
「チャーハンを食べている」という楽しさがなく、何だか哀しくなってくる。
※参考データ:353円(税込)/600g
トップバリュの2商品の後にニチレイの「本格炒め炒飯」を食べ直してみたところ、段違いに美味くて驚いた。完成度が雲泥の差で、香りからして同じチャーハンとは思えないレベル。
まぁ、安いからね。安さ一辺倒で考えるなら、トップバリュもありか。
冷凍チャーハン最強ランキング
というわけで10品全てのレビューが完了したので、結果発表といく。
先に言っておくが、1位~4位まではマジで僅差なので、どれも1位でも良いくらいだ。
尚、完全主観ランキングなので異論は一切認めない。ここでは私が法律だ。
さて、そんな猛者揃いの冷凍チャーハン界を制した者とは…?
マルハニチロ
「炒飯の極み えび五目XO醤」
絶対王者・ニチレイを下したのは、気鋭のマルハニチロ。
海鮮風・五目具材・海老感と要素が多くありつつもバランス良くまとめられた見事なチャーハン。
食後の余韻がずっと続き、「良いチャーハンを食べた」感が一番あった。
ニチレイ
「具材たっぷり 五目炒飯」
続いてニチレイ版の五目炒飯。
具材の存在感は10品の中でも断トツ。冷凍チャーハンとは思えない彩りの良さと豪華さは、見ているだけで楽しくなってくる。
正直、マルハニチロの五目と甲乙つけがたいレベル。
ニチレイ
「本格炒め炒飯」
まさかの3位、ニチレイの看板商品。
安定した美味しさ、チャーシューの旨味、食欲をそそる卵の香りと正に最強のチャーハン。
しかしながら、これは完全に理不尽ではあるがもう食べ慣れすぎていて新鮮味がなかった。敗因はそれだけである。
今回の企画で初の邂逅であれば、更に上位は堅かったか。
マルハニチロ
「あおり炒めの焼豚炒飯」
飽きが来ない、いぶし銀の冷凍チャーハン。
何か突出した強みがあるかと言われるとそうではないが、欠点がないタイプの優秀さが魅力。
ニチレイとは全く異なるアプローチのため、比較して食べてみると面白いかもしれない。
↑ここまで僅差
↓ここから大差
テーブルマーク
「焼きめし」
意外なダークホース、テーブルマークのシンプル焼きめしが5位ランクイン。
土曜の午前中、学校終わり、家で食べる昼ご飯のチャーハン。人は選ぶものの、この素朴な味わいはそんなあの頃を思い出させてくれる。
たまにふと食べたくなるような、そんな存在。
味の素
「焦がしにんにくのマー油と葱油が香るザ・チャーハン」
味の素、思ったよりも健闘ならず。
やはりパッケージと実際の味わいとの乖離が大きな要因か。味付けが塩味一辺倒な点も食べ疲れを感じさせ、もう一口、の食指がなかなかに伸びづらい。
いや、美味しいんだけどね?充分美味しいんだけど、上には上がいた。
後はダイジェストめにお送り。
- 7位:ニチレイ「町中華 五目炒飯」
- 8位:テーブルマーク「ごっつー使える 炒飯」
- 9位:トップバリュ「本格五目炒飯」
- 10位:トップバリュ「2種類のにんにく油とねぎ油 香味チャーハン」
当然と言えば当然だが、下位は業務用とトップバリュが席を埋める結果となった。
好きな人がいたらごめんね。でも上位のやつの方が絶対美味しいからオススメだよ。ごめんね。
上位4品はニチレイ・マルハニチロの独占と、やはりこの2社は強い。どれもクオリティとして遜色なく、ほぼ好みの差と言えよう。
「チャーハンを食べる」という行為。それはただの食事というのみならず、ワクワクするような昂りを伴った『お祭り』感が大切だと思っている。
このランキングは、そんなワクワクを大きく感じた順番と表現してもよい。さぁ、次はどんなワクワクと出逢えるのだろうか。
冷凍チャーハン最強終幕
いかがだったであろうか。
正直、こんな食べ比べ記事は大手メディアが既に山ほど書いている。「じゃあそれ見れば早いじゃん」と思うかもしれないが、本当にそれで良いのか?
手軽に情報が手に入る昨今。その中で真の知を得るには、やはり行動が伴わなければならないのだ。
私は自らの舌で検証できたことに満足しているし、誇りに思っている。ぜひ、参考にしていただきたい。
それでは、残された大量の冷凍チャーハンを消費する余生を過ごしたいと思う。
前言撤回。絶対に個人でやるべきじゃないね。識者の諸君はやらないように。
おわり。
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